【SWAPP】AIで図面生成+3Dモデリングを1クリックで完了する革命的ツールを調べてみた。

目次

SWAPPとは

イスラエルのテルアビブに拠点を置くスタートアップ”Swapp”は不動産開発や建設計画の自動化を目指しています。不動産開発者、建築家、エンジニア間での情報の共有、コミュニケーションを円滑にするためのAIソリューションとして、2019年にAdi Shavit氏、 Eitan Tsarfati氏、Noam Gat氏によって設立され、直近では、2023年5月にシリーズAラウンドで1,150万ドルの資金を調達しました。

このプラットフォームは、計画の柔軟性と効率性を向上させ、従来の数週間から数ヶ月かかる建設計画プロセスを数日で完了させプロジェクトを迅速に進行することが可能です。

従来の設計プロセスの課題

住宅や施設を建設する際の設計作業は、古くから2次元の図面を描く作業が中心でした。この作業をデジタル化したのが2D CADソフトウェアです。

2D CADソフトウェアは、建築・建造分野だけではなく、自動車設計・インテリアデザインなど幅広い分野の図面作成で活用されてきました。

しかし、建築分野においては、2次元図面では建材の重量や強度を考慮しづらいという課題がありました。

現在では徐々に2DCADから3DCADへの移行が進んできています。

3DCADでは、物の形を視覚的に理解しやすく、情報の共有やコミュニケーションの円滑化につながっています。

一方で3D CADでは3次元モデリングを使うことでコミュニケーションや情報の共有の課題は解決されたものの、従来使われてきた、2D図面からモデリングし、修正時に行き来することになります。この時代の転換の中で、シームレスに同期することが難しく、工数がかかるというジレンマがあります。

BIM(Building Information Modeling)の登場

こうした課題を解決するため、BIM(Building Information Modeling)が注目されるようになりました。BIMでは建材パーツの基本情報に加え、組立工程や所要時間なども含めることができます。

さらにBIMを使えば、平面図や立面図、断面図の作成も可能です。3Dモデルを修正すれば関連する全ての設計図面が自動更新されるため、見積り時の予算ズレを防げるメリットがあります。

BIMではAutodesk社の「Revit」をはじめとして多くのツールが利用されています。

ツール名概要
Autodesk Revit建築、構造、MEP設計向けの包括的なBIMソフトウェア。
ArchiCAD建築家やデザイナー向けの直感的なモデリングツール。
Bentley Systems MicroStation複雑なインフラプロジェクト向けの高度なモデリングとドキュメンテーションツール。
Vectorworksデザインとドキュメント作成を簡易化する多機能BIMソフトウェア。
Tekla Structures鋼構造やコンクリート構造の詳細設計と構造分析に特化したツール

今回はそんな「Revit」へ対応した、生成AIとの組み合わせた図面や設計図の自動生成ツールを深掘りします。

AIで設計工程を自動化「SWAPP」

このような課題に対し、イスラエルのスタートアップ「SWAPP」が、革新的なソリューションを提供しています。SWAPPは生成AIを活用し、概念設計から設計開発、施工図面作成までの一連の工程を自動化。設計者の工数を大幅に削減することを目指しています。

Swappの共同創業者であるCEOのEitan Tsarfati氏と最高科学責任者のAdi Shavit氏は、建設業界のベテランです。Eitan Tsarfati氏は、テクノロジー業界に転身する前は建築家としてキャリアをスタートし、彼の最初のスタートアップ企業はHomestylerで、Adi Shavit氏も共同創業者でした。この会社は後にAutodeskに買収され、この取引の一環として Autodesk に 入社しました。

Autodeskの中でRevitの開発にも携わる中で、ソリューションで足りない部分を感じており、一番の課題として、「アーキテクチャには、実現可能性調査、テストフィット、回路図設計、VDC、DCAなど、様々な機能があります。しかし、建設図面作成は単調な作業であり、基本設計から実施設計までの段階で、多大な工数がかかる部分です。」と語っています。

そういった課題を解決するために創業したのが、Swappです。

自然言語から設計モデルを自動生成

SWAPPの核となる機能は、自然言語による要件定義から設計モデルを生成することです。設計者は「3階建ての一戸建て住宅を設計したい」といった自然な言葉で要件を記述するだけで、AIがその要件に基づいた3Dモデルを自動生成します。

出典:AECMAGAZINE

生成された3DモデルはRevitなどのBIMツールと連携し、直接編集が可能。継続的な改善サイクルを実現できます。

また過去のクライアントのモデルとこれまでの施工実績をもとに、レイアウトのベストプラクティスを学習に使っているため、かなり精度が高いアウトプットが生成されます。

建材や工程、コストデータをAIが学習

SWAPPは建材データベースから建材の種類、サイズ、重量、価格などの情報を取得できます。また、加工や組立工程、見積コストなどのデータも学習しているため、自動生成される設計モデルには、高度な知見が組み込まれています。

設計変更があっても、材料コストや工程の変動を自動で反映。スピーディーな設計見直しが可能になります。

クラウドで進む設計プロセス

SWAPPはクラウドベースのサービスで、設計者はブラウザ上のインターフェースからアクセスできます。設計の進捗状況はリアルタイムで共有され、関係者全員が最新状況を確認できます。

まとめ

SWAPPの共同創業者は、Autodesk社に買収された住宅設計アプリの開発に携わっていた経験から、そこで設計の現場の課題を体感し、AIを活用し設計の現場の変革チャレンジしています。

建設業界はAI活用が遅れている分野とされていますが、SWAPPは生成AIを核とした設計自動化で、建設の未来を切り拓く先駆的な存在と期待されています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次